12月法話 年の瀬を迎えて
年の瀬を迎えて
天真寺副住職 西原龍哉
早いもので12月も過ぎ、残すところあともう少しとなりました。先日は、平成26年ユーキャン新語流行語大賞にて、「ダメよ~ダメダメ」「集団的自衛権」が年間大賞に選ばれました。このニュースを聞くと、今年も、あっという間の一年だったなぁと感慨にふけります。12月は師走とも呼ばれ、お坊さんがお経を勤めるために、忙しく走りまわったことが語源だともいいます。この時期になると、思い出される言葉があります。
かつて或る僧曰く、 正月に朝日を拝む人は多いけれど、大晦日の夕日を拝む人は少ない。
毎年大晦日の夕日を眺め、 おてんとう様、今年一年ありがとうございました、と感謝する。
以前、友人から送られてきたメッセージです。この言葉と出会い、ハッと気が付きました。
暮れもおし迫ったこの時期になると大掃除、年賀状の用意、新年を迎えるための準備に追われ、一年を振り返ることもなく過ごしていました。果たして、今年はどんなことがあっただろうかと、じっくりと手帳を見ながら振り返りました。あんなことも・こんなこともあったと、忘れていることばかり。時間に追われて過ごしているため、感謝の心どころか、今年の出来事やご縁を頂いた人たちのことさえも忘れていました。
最近、「おかげさま」「もったいない」という言葉が聞かれなくなりました。その言葉を使う人が少なくなったからかもしれませんが、背景には、すべてを当たり前と受け取るようになっているからかもしれません。空気・先祖・親・師などさまざまなご恩を頂きながら生きていますが、損か得かという損得勘定で見るモノサシから見ると、ご恩が見えにくくなっているかもしれません。
今年も、残すところあと一ヶ月です。今年の締めくくりは、ゆっくりとお仏壇をお掃除して、「南無阿弥陀仏」と仏様にお礼の念仏を申させていただこうと思います。いつでもどこでも、仏様はいらっしゃる。私が仏様のことを忘れていても、「南無阿弥陀仏」とはたらいて下さっております。お仏壇は、仏様の願いを聞かせて頂く。仏様のご恩、限りないご縁を知らせて頂く大切な場所であります。ついつい慌ただしくなって年の瀬だからこそ、今自身のいのちが生かされてあることに対する感謝の思いをもって、「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えつつ、一年を振り返り、さまざまなご縁に感謝して、仏様とともに過ごしたいと思います。
合掌