法話

5月法「阿弥陀様の大悲のおこころ」

『阿弥陀様の大悲のおこころ』 

弘教寺 副住職 小林真法

皆さんは好きな曲はありますか?

私はアーティスト、YOASOBI の「ハルカ」という曲が歌詞・メロディ共に好きなのですが、お聴きになった事はありますでしょうか。
今回は阿弥陀様の大悲のおこころについて私の好きな曲、「ハルカ」を通じてお話をさせて頂きます。
私はこの曲の歌詞が浄土真宗の御本尊様、阿弥陀如来様のおはたらきに重ねて聞くことが出来るのではないかと思います。

「ハルカ」について、YOASOBI の楽曲は小説や映画などを音楽化したものが多いのですが、ハルカは鈴木おさむ氏の『月王子』という小説を原作としたものです。原作の小説は Web サイトにて無料で読む事が出来ますし、絵本「ハルカと月の王子さま」も出版されていますので宜しければ是非お読み下さい。

簡潔にスト-リーを話しますと、主人公のマグカップ(別名:月の王子さま)が当時中学生だったハルカに購入され、ハルカの受験・就職・結婚・出産といった成長と一緒に時を過ごし、最後マグカップを持ったハルカの子どもが体勢を崩した時に落として割れてしまうまでのストーリーが歌詞に表されています。

私がハルカの歌詞の中で浄土真宗の阿弥陀様に姿を重ねるのは、「つらいこともうれしいことも分かち合える」、「君のよろこびは僕のよろこび」、「ボクがついてる」、「君のそばにはもう沢山の愛があふれてる」、「君のそばにいられることそれだけでこんなにほら幸せ」といったところです。
以上のことばは、仏様の大悲のおこころと似通うところがあると思います。そしてそれは、私達が考える「思いやりのこころ、愛」を超えた、仏様の「大悲」に集約されると思います。阿弥陀様のお慈悲は「大悲」、つまりあらゆる区別・差別をはなれた仏様の絶対平等であるお慈悲であるから、この私がいつどんな状況であっても見守って下さり、この私を念仏申すように育て続けて下さっておられます。

親鸞聖人がお書きになった正信偈の源信和尚を讃えられた箇所の一節にも「煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我」とあります。「煩悩がわたしの眼をさえぎって、(阿弥陀様の摂取の光明を)見たてまつることができない。しかしながら、阿弥陀仏の大いなる慈悲の光明は、そのようなおろかな私を見捨てることなく常に照らしていてくださる(現代語訳『教行信証』より)」という意味です。

この私は、真実を真実として見る事が出来ない身でありますが、阿弥陀様はそんな私とご一緒下さり『われにまかせよ、必ずすくう』と仰って下さいます。そして仏様はこの私の喜びをわが喜びとして喜んでくださり、私の悲しみは、わが悲しみだと泣いて下さいます。そして仏様のお
慈悲のおこころは南無阿弥陀仏の六字の仏さまとしていつでもどこでも私に寄り添い続けて下さいます。阿弥陀様の大悲のおこころに報恩感謝のお念仏を申す日々を過ごしていきたいです。